毎日、種起こしから酵母を育て、一週間かけて育て上げます。酵母こそ、当店の命です。
酵母は生き物です。そして、酵母を使って出来上がるパンも、生き物そのものです。
毎日大切に育て、焼き上げたパンたちを全国の皆様へお届けできること、「毎月PANDA!」を通じて新しいお客様と出会えることをとても楽しみにしております。
Q. いつからどんなきっかけでパンの道に進まれたのですか?
20代から30代にかけて、体調不良でずいぶん苦しみました。
絶食療法や玄米青汁などの食事療法で体調が良くなるにつれて、食事の大切さを知り、発酵食品の素晴らしさを知りました。
自分でも味噌や甘酒、発酵堆肥などを作るようになり、そんなとき天然酵母パンと出会いました。
パンは発酵食品なのだと認識を新たにし、その美味しさに惹かれました。
パンはもともと自然の酵母から作る発酵食品だったのです。その自然の酵母が作り出す不思議な世界を体現したくて、パンを作り始めました。
Q. パンづくりの魅力、パンづくりのこだわりを教えてください。
パンは生き物です。
というか、酵母そのものが生き物なので、温度・湿度に大きく左右されます。
日々、温度・湿度が変わる中で、どうやって一年中同じ発酵力をもった酵母に仕上げるか、一番苦労するところです。
酵母さえうまくできれば、あとは他のパン屋さんとあまり変わらない。酵母さえうまくできれば、酵母が勝手に美味しくしてくれる。極端な話、そう思っています。
そのためには、毎日種起こしから初めて種継を何度か繰り返し、一週間かけて酵母を仕上げます。普通は一度種起こしをすると、あとは種継を繰り返していくのですが、当店では毎回一から種起こしをし、同じ回数だけ種継をして完成させます。
そうすることで強い発酵力と、酸味が無く風味が良い美味しい酵母になります。
小麦粉は、ライ麦以外は国産(北海道産と熊本産)を使っています。
Q. おすすめのパンやご自身が好きなパンを教えてください。
ハード系のパンがおすすめです。
フランスパンや、カンパーニュの生地を使った派生商品、ドライフルーツ(いちじくやレーズン、クランベリーなど)やナッツを混ぜ込んだり、クリームチーズやその他のチーズを合わせたり、じゃがいもやベーコン、エビなどと合わせたり。最近は世界各地のチーズを取り寄せて使ったりしています。
生地がシンプルなだけに酵母の風味が感じられ、いろんな材料と合わせることで無限にバリエーションが広がります。
Q. お店の所在地について、その場所を選んだ理由は何ですか?その場所のどこが好きですか?
もともと雲仙市の自宅の裏庭に、石窯と小さな工房を作って営業を始めました。
電話で場所を説明してもなかなかたどり着けないような場所で、卸売りのみの販売でした。
徐々に話を聞きつけて家にもお客様が来られるようになったので、週末のみ自宅で販売するようになりました。
10年過ぎたころ、取引先から諫早に来ませんかというお誘いを受け移転を決めました。
現在の場所は、市街地と農村の間のようなところです。周りは田んぼや畑が多く、住宅街ではありません。静かな環境の中で、ゆっくりとパン作りができるのが気に入っています。
Q. 今回「毎月PANDA!」に参加された決め手は何ですか?
独自の製法で自家製酵母を育て、イーストを一切使用することなくパンを作っているので、時間がたっても風味が落ちないという特徴があります。焼き立てにこだわることなく冷凍しても美味しく食べられる当店のパンは、「毎月PANDA!」と非常に相性が良いと思いました。
そして、日本に西の果てにある当店のパンを全国のお客様に食べて頂ける良い機会だと思いました。